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(5)受注価格低下への対応状況
昨年度、一昨年度の書面調査を通じて当業界の受注価格が大幅に低下したことが明らかになり、昨年の現地ヒアリングの結果も書面調査の結果を裏付けているが、この厳しい経営環境下にあって企業としてどう対応しつつあるのか、また今後どのような対応策を考えているのか。

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●構外・兼業では「資材・商品等調達価格の見直し」「製造・加工工程の見直し・合理化」が1・2位
構外・兼業企業314社についてみると、「構外・兼業のみ対象項目」「全企業対象項目」の両方を通じて「資材・商品等調達価格の見直し」(51.9%)「製造・加工工程の見直し・合理化」(51.6%)が1・2位で拮抗している。当然ながら構外企業だけに限るとそれそれ59.7%、69.7%と6割以上の企業が資材調達の見直し、工程見直しに取組んでいる。

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●新規事業分野・新規得意先の開拓(全業態対象項目の第1位)
受注価格低下への対応項目全17項目のうち第1位が「新規得意先の開拓・得意先の分散化」(46%)、第2位は「新規事業・新分野の開拓」(28%)となっている。
既存の造船事業についてみれば一時的な需要の伸びはあっても長期的にはもはや成長を期待できないことは明らかであり、近い将来先端的で高度な技術を必要とする高性能で付加価値の高い船舶の建造へとシフトしていくことは間違いない。また、生産技術面ではCIM、CALS等の情報を高度に活用した造船事業の効率化が進み、一方で蓄積された造船技術を活用した新規事業の育成、事業多角化が一段と進むことが予想される。
今まで同様将来的にも協力企業の存在は不可欠であるが、造船業が国際的な自由競争の時代を迎えて、海外諸国との競争が今後益々激しいものになることが予想されることから、技術、経営の両面で協力企業に求められるハードルはしだいに高いものになっていくことが予想される。
元請の傘の下にいればなんとか安心していられた時代は過去のものになりつつある。既存の造船事業がこの先大きな需要の伸びを期待できない以上過去延長型の経営を続けるかぎり協力企業が獲得できる果実にも限界があるということであり、将来的な元請の二ーズの変化に応えることができる企業として実力を蓄えると同時に、新たな事業分野へ展開していくための事業シーズ発掘の模索、種まきが必要とされており、そうした企業の危機意識が回答

 

 

 

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